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近郊・通勤型
No.11~No.17

No.11 東京モノレール10000形 天王洲アイル~大井競馬場前

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 羽田へ行くなら東京モノレールか京急か。東海道線から乗り換えることが多い私は京急のほうが便利なのだが、時間さえあれば景色が楽しいモノレールを使う。1964年の東京オリンピックにあわせて開業し、飛行機に搭乗する旅客や羽田空港や沿線の倉庫へ通勤する従業員の輸送を担ってきた。人気のウォーターフロントエリアとあって、沿線の開発も進み、途中駅の需要も高まってきた。

 そうした高級住宅には今後も縁がないであろう私だが、モノレールなら数百円で移りゆく東京の水辺を楽しめる。運河の上を高速で駆け抜ける様は飛んでいるかのよう。まさに、浜松町から空の旅が始まっているのだ。

(2022年12月29日 東京モノレール 天王洲アイル~大井競馬場前)

No.12 西武鉄道20000系 航空公園~新所沢 

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 この記事を書いてる今日は大学共通テストの日。受験生の皆さんに春が来ますように。かくいう私の大学受験といえば、推薦入試で早々と私立へ進路を決めてしまったので、3年生の12月からは暇になった。センター試験を控える友人の勉強に付き合うなどしたが、ピリピリとした学級の雰囲気は今思い出しても居心地が悪いものだった。大学は1~2年次が所沢の航空公園、3~4年次が練馬区の江古田だった。航空公園は沿線に菜の花が植えられ、桜並木もあり、春は通学が楽しみな季節だった。

​ 大学を卒業し4年が経った2019年の春、学生時代から変わらず通っていた床屋の帰りに航空公園で降りた。春の日射しに誘われ、世話になった西武の電車が撮りたくなったのだ。

​(2019年4月6日 西武鉄道 航空公園~新所沢)

No.13 H100形 北永山~比布

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​ 3月の北海道といえば、皆さんどんな景色を想像するだろうか?雪が溶けた水浸しの道路や、曇りの日が続いて、なんだか汚いイメージをお持ちの方も多いと思う。私も北海道に来るまではそうだった。しかしながら、旭川で暮らしてみると、真冬の寒さに慣れた体には3月や4月の日射しが暖かい。道産子が春を待ち遠しく思うのも頷ける。真冬の関東ほどではないものの、晴れる日もそれなりにある。いざ晴れてしまえば、澄んだ青空に遠くの山々が映える。北海道に来て一番印象的だったのは、想像以上に過酷な冬の厳しさよりも、春の心地よさである。

 そんな心地よい春の日、まぶしい朝日で目を覚ました。カーテンを開けると大雪山がよく見えた。午後になってカメラを取り出し、近所の鉄橋へ出かける。どこを切り取っても絵になるが、列車は1両ゆえ、山全体を写すと迫力がなくなってしまう。ここでは大雪山系の主峰、旭岳に絞り、名寄行きの快速列車を待った。

(2022年3月29日 宗谷本線 永山~比布)

No.14 えちぜん鉄道6001形 発坂~比島

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 地域や品種、市場価格などの事情から、桜や紅葉よりも時季が読みにくい田植えと稲刈り。インターネットが発達した現代でも、予想しづらく、いつなら水が張られているかはわからない。現地に行って自分の目で確かめるのも写真の醍醐味。

 5月の大型連休は増結された北陸特急を狙いに福井へ。気温は高かったものの、田んぼに水が張られたおかげで、爽やかな一日だった。夕方に細呂木の定番で北陸本線を影落ちするまで撮ったあと、勝山へ車を走らせた。昔ながらの狭い道を進み、広場に車を止めた。散歩をしている住民と挨拶を交わしながら列車を待った。やがて遠くの踏切がなり、単行の列車が茂みの奥から現れた。カエルの鳴き声が心地よい夕暮れだった。

(2023年5月4日 えちぜん鉄道 発坂~比島)

No.15 キハ54形/キハ40系 緋牛内

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 現地の人に失礼を承知で書くと、北海道ではオホーツク海側だけには住みたくない・・・。あまりに寒すぎる。気温は私が当時住んでいた旭川とたいして変わらないが、真冬でも晴れる日が多く、乾燥した寒さのなかにいると指先から全身が千切れそうになる。住むのは勘弁でも趣味は別腹。耐えがたい極寒と引き換えに、美しい鉄道風景に魅せられ、オホーツクへは何度も通った。

 ようやくC11 171の修理が終わり、無事にSLでの運行が開始された2023年シーズンの【冬の湿原号】を狙いに、この日も釧路湿原へ向かっていた。俯瞰へ上がるべく直行するつもりだったが、途中の遠軽で仮眠してしまったこともあり、ちょうど7時前に北見市街地を抜けた。じきにゴーヨンとヨンマルの行き違いが行われる緋牛内駅に立ち寄るとすでに10名ほどの先客が。気温や天気も申し分なく、風もなかったこの日、朝焼けの空へ白煙が上る。

​(2023年1月22日 石北本線 緋牛内)

No.16 キハ40系 布部

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 東京に住んでいた頃、路線廃止は遠い地方の話題だったが、北海道に住んでみると身近なものである。利用客の減少によるもの、災害により復旧を断念したものなど、様々な理由で北国の鉄路は短くなっていった。根室本線は2016年夏に台風10号により被災し、東鹿越~新得間は復旧を断念、この区間を含み、特に利用客が少ないとされる富良野~新得間が2024年3月31日に営業を終了した。この区間は旭川に住んでいた頃に何度か訪れた。近場ということもあるが、特急も貨物も走らない、独特の静かな雰囲気がとても好きだった。かなやま湖や芦別岳バックの山深い場所も魅力的だったが、人里の風景が思い入れ深い。

 布部駅がルピナスとフランスギクで包まれることを知ったのは2023年初夏のこと。シャープな朝日でヨンマルの顔に光を当てるのも良いが、少し柔らかい光線で撮影したい。ということで狙ったのは10時前に発着する2478D。現地に着いてみると、辺り一面の花に圧倒された。花のボリュームを出すためにどう構えるか、ピントは列車に合わせるか花に合わせるか。迷っている時間も撮影の楽しみ。静かに布部駅を走り出したキハ40 1714。次の年には見られない光景を、優しく切り取った。

​(2023年6月12日 根室本線 布部)

No.17 21000系 大和田~家山

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 東京で暮らしている会社の大先輩(先生)から、春の便りが届いた。北海道に住んでみると春の訪れは雪解けにより実感するが、東京に住んでいた頃は桜の開花だったことを、ふと思い出した。貧乏な大学生のときはお金がなくても撮影に行くため、実家のある静岡まで電車で移動し、親の軽自動車で県内を走り回った。

 この日は午前2時に家を出て、国道1号をひたすら走り、初電前の新金谷駅に着いた。沿線の開花状況を見ながら北上し、SLや合間の普通列車を狙った。SLが通った時間には大賑わいだった家山川近くの桜並木。気づけば私が独り占め。淡い塗装の元南海21000系は、柔らかい春の景色によく似合った。

(2013年3月25日 大井川鐵道 大和田~家山)

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